POSレジの棚卸機能の使い方と手順
この記事を書いた人
ジンベエ
POSシステム導入アドバイザー
決算月にあわてて棚卸をやろうとして、スタッフ総出で3日かかった——そういう経験をした店舗は珍しくない。POSレジに棚卸機能がついているなら、このフローは根本から変えられる。ただ、「機能があるのに使いこなせていない」ケースが多いのも事実だ。手順の勘違い1つで理論在庫との差異がかえって増えることもある。実際に触った経験をもとに、やるべき順序と確認ポイントをまとめる。
棚卸を始める前にやっておく設定
棚卸は「開始ボタンを押したタイミング」が肝心だ。POSレジの棚卸機能は、開始時点の理論在庫と実際の棚数を照合する仕組みになっている。つまり、「棚卸開始」を押した後に売上登録が入ると、理論在庫の基準がズレる。
多くのクラウドPOSは閉店後・開店前の棚卸を推奨しているが、スマレジの場合は棚卸中でも通常の売上登録が続けられる。これは意外と知られていない。棚卸完了時に「棚卸中に売れた分」を自動補正する仕組みになっているためだ。とはいえ、自動補正を信頼しすぎると細かい誤差が積み重なる可能性がある。実務的には閉店後に実施するのがいちばん無難だと思う。
スマレジでの棚卸開始手順
- 管理画面から「在庫管理」→「棚卸」を開く
- 「新規棚卸を作成」で棚卸名と対象日付を設定
- 棚卸対象の商品グループを選択(全品/特定カテゴリ)
- 「棚卸開始」を押してスキャン準備完了
Airレジの場合は「在庫管理」→「棚卸」から同様の手順をとる。ただし棚卸機能はAirレジPOS(月額12,100円〜)の有料プランに限定されており、無料プランでは使えない。導入前に確認が必要だ。
バーコードスキャンで棚卸する実際の流れ
スキャンの流れ自体はシンプルだ。
- 商品バーコードをスキャン
- 数量を入力(または数量ぶん繰り返しスキャン)
- 登録して次の商品へ進む
注意点が1つある。スキャンが速すぎると同じバーコードを二重読み取りすることがある。特にBluetoothリーダーの場合、読み取り間隔(デバウンス)の設定によっては1秒以内の連続スキャンで二重計上になるケースがある。棚卸は正確さが命なので、スキャン間隔は意識的に1秒以上あけるのが無難だ。
スマレジのiPadアプリでは、スキャン後の数量欄が自動フォーカスされるので、キーパッドで数量を入力してエンターで次に進む流れが効率的。カメラスキャンよりもBluetoothバーコードリーダー(Socket Mobile S720やZebraシリーズが対応機種として多い)を使うと認識精度が大幅に上がる。
入力ミスを防ぐポイント
同じ商品が複数個ある場合、1つずつスキャンするより「数量入力」でまとめて入れる方が二重スキャンのリスクが減る。スマレジでは数量欄に直接入力できる。
ハンディターミナル連携で棚卸時間を短縮する
売場が広い店舗や、商品点数が1,000SKUを超えるような場合、1台のレジだけでスキャンすると半日以上かかる。ハンディターミナル(携帯型スキャナ)を使えば複数人が別々の売場を同時に担当できるので、作業時間が大幅に圧縮できる。
スマレジはBluetooth接続のハンディターミナルとのリアルタイム同期に対応している。スキャンした数量がクラウドにすぐ反映されるので、作業の重複が起きにくい。ただし——これは実際にやってみてわかったことだが——WiFi環境が不安定な倉庫や地下フロアだとオフラインモードに切り替わる。このとき「後から手動で取り込む」操作が必要になるが、取り込みタイミングを間違えると他の担当者のスキャンデータと二重計上になることがある。初回棚卸でこれをやって、1つのSKUの在庫数が実際の2倍になっていたことがあった。
ハンディターミナルの対応機種はPOSシステムのバージョンアップで変わる可能性があるので、2026年4月時点で調べた情報そのままで購入するのはリスクがある。メーカーサポートに確認してから揃えた方がいい。
Airレジは現時点でサードパーティのハンディターミナルとの公式連携には対応していない(Bluetooth入力自体は可能だが、リアルタイム同期機能はない)。複数人での同時棚卸を想定しているなら、この点はシステム選定の段階で確認しておく必要がある。スマレジとAirレジの詳細な機能比較も参考にしてほしい。
理論在庫との差異が出たとき、何を確認するか
棚卸が完了すると「差異リスト」が出力される。理論在庫と実在庫が一致しない商品の一覧だ。差異がゼロになることはほぼない。問題は「どの差異が許容範囲で、何が原因なのか」を判断できるかどうかだ。
差異の主な原因4つ
| 原因 | 具体的なケース | 確認方法 |
|---|---|---|
| 入力ミス(売上未登録) | バーコードスキャンを飛ばして現金のみ受け取った | 売上ログと商品の動きを照合 |
| 検収ミス | 入荷時にPOSへ入力した数が実数と違う | 納品書・検収票と突き合わせ |
| 廃棄・返品の未反映 | 廃棄した商品をPOSに登録し忘れた | 廃棄記録・返品伝票の確認 |
| 万引き・紛失 | 特定SKUだけ継続して差異が出る | 防犯カメラ・陳列場所の確認 |
確認する優先順位は「廃棄・返品の処理漏れ」から始めるのがいい。実務上、これが一番多い。廃棄した商品をレジに入力せず処分してしまうのは、規模を問わずどの店舗でも起きる。次に入荷時の検収ミスを疑う。万引きは最後の確認になるが、特定の商品で毎回同じ方向に差異が出る場合は疑った方がいい。
差異が出た後の在庫修正
スマレジでは棚卸完了後に「在庫確定」を行うと、実在庫の数量に合わせてシステム上の在庫が自動調整される。この操作をしないと理論在庫のままになるので注意。
なお、差異の許容範囲については「差異率1%以内」という目安を見聞きすることがあるが、これが業界標準かどうかは確認できなかった。食品は廃棄が多く差異が出やすいし、アパレルや雑貨は万引きや誤スキャンが主な原因になりやすい。自店の傾向をつかむには、数回分の棚卸データを比較して「どの商品カテゴリで差異が多いか」を見ていくのが現実的だと思う。
棚卸結果の3つの使い道
差異を把握するだけで終わるのはもったいない。棚卸データは在庫戦略を見直す材料になる。
ロス率の把握
「差異数量 ÷ 期間中の入荷数量」で商品別のロス率が出る。月次で追うと、季節変動や棚割り変更がロスにどう影響しているかが見えてくる。スマレジでは在庫推移レポートと棚卸データを組み合わせてこの分析ができる。
発注精度の改善
理論在庫がズレたまま発注をかけると過剰在庫になる。棚卸後に在庫数を「確定」させてから次の発注を入れる習慣をつけるだけで、発注精度はかなり改善する。POSレジの在庫管理を自動化する方法と組み合わせると、発注作業そのものの工数も減らせる。
デッドストックの洗い出し
棚卸のタイミングで「6ヶ月以上動いていない商品」を確認すると、死に筋商品の整理に使える。ECと在庫を連携しているなら、棚卸後にデッドストックをオンラインで捌く動きもとりやすい。POSレジとECサイトの在庫連携の仕組みも合わせて参考にしてほしい。
よくある疑問
棚卸中に売上登録してしまったらどうなる?
スマレジの場合、棚卸中の売上分は棚卸完了時に自動補正される。ただし補正が正確に機能するかどうかは棚卸の開始・終了タイミングに依存するので、可能なら営業時間外に実施するのがベター。Airレジは棚卸中の売上と棚卸データを手動で突き合わせる必要がある。
棚卸の頻度はどのくらいがいい?
法令上の義務は「年1回の期末棚卸」だが、在庫管理の精度を上げたいなら月次か四半期ごとの棚卸が現実的だ。商品点数が少ない店舗なら月次でも1〜2時間で終わる。点数が多い場合は、A品(売れ筋)だけを毎月・全品は四半期ごと、という分け方もある。
棚卸後の在庫修正は自動でされる?
スマレジでは棚卸完了後に「在庫確定」を実行すると、実在庫の数量に合わせてシステムの在庫が書き換わる。確定操作をしないと在庫数は変わらないので、スキャンで終わりにしないよう注意が必要だ。
在庫管理機能で選ぶならスマレジ
棚卸機能・ハンディターミナル連携・在庫推移レポートをまとめて使いたいなら、スマレジ(月額0円〜)が現時点でいちばん選択肢として安定している。フリープランでも基本的な在庫管理機能は使えるので、まず試してみる価値はある。
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