インボイス対応レシートのPOS設定手順
インボイス対応レシートに必要な設定は、突き詰めると2つだけだ。「登録番号(T+13桁)を管理画面に入力すること」と「税率ごとの内訳を印字するオプションをONにすること」。この2点が済めば、大半のクラウドPOSは自動で適格簡易請求書に対応した形式で出力してくれる。
ただ、その「管理画面のどこに入力するか」がPOSレジによって全然違う。スマレジとAirレジで設定箇所が異なるし、ユビレジはバックオフィスの呼び方が特殊で迷いやすい。この記事では、主要4サービスの設定手順を実際の画面構成に沿って整理した。
この記事の対象読者
すでにインボイス登録(適格請求書発行事業者の登録)は済んでいて、あとはレジの設定をするだけという状態の事業者向け。登録番号の取得方法については電子帳簿保存法とPOSレジ対応の記事を参照してほしい。
適格簡易請求書として認められるレシートの条件
まず前提を確認する。小売店・飲食店・タクシーなど、不特定多数の顧客を相手にする事業者は、通常の適格請求書ではなく適格簡易請求書(簡易インボイス)を発行すればいい。レシートはこちらに該当する。
適格簡易請求書に必要な記載事項は5つ。ここが意外と知られていないポイントで、通常の適格請求書(6項目必要)と比べると「書類の交付を受ける事業者の氏名または名称」が不要になる。要するに、宛名を書かなくていい。レシートなので当然といえば当然だけど、制度設計上ちゃんと区別されている。
| 記載事項 | 適格請求書 | 適格簡易請求書(レシート) |
|---|---|---|
| 発行事業者の氏名または名称 | 必須 | 必須 |
| 登録番号(T+13桁) | 必須 | 必須 |
| 取引年月日 | 必須 | 必須 |
| 取引内容(軽減税率対象品には※等) | 必須 | 必須 |
| 税率ごとの取引金額合計(税抜or税込) | 必須 | 必須 |
| 消費税額等 または 適用税率(どちらか一方) | 両方必須 | どちらか一方でOK |
| 交付を受ける事業者の氏名・名称(宛名) | 必須 | 不要 |
つまり、レシートで宛名なしでも要件を満たせる。これは「インボイスのために宛名入り領収書を毎回書かなければいけないのでは」と心配していた飲食店にとっては朗報だと思う。
POSレジ別 設定手順(4サービス比較)
主要なクラウドPOS4サービスの設定方法をまとめた。基本的な流れはどれも同じで、「管理画面に登録番号を入力 → アプリ側で税率内訳印字をON」という2ステップだ。ただし、設定場所の名称と手順が異なる。
スマレジ
スマレジはアプリとWeb管理画面の両方で設定が必要になる点を最初に理解しておくとスムーズだ。
Step 1:Web管理画面で登録番号を入力する
ブラウザでスマレジ管理画面(smaregi.jp)にログイン → 左メニューから「店舗」→「店舗一覧」を選択 → 設定する店舗名をクリック → 「登録事業者番号」の入力欄に「T」を含む14桁(T+13桁)を入力 → 「更新」ボタンで保存。
Step 2:iPadアプリで税率内訳印字をONにする
スマレジアプリを開き、「設定」→「プリンター設定」→「印字コンテンツ」の中にある「税率の内訳印字(販売レシート)」と「税率の内訳印字(領収証)」を両方ONにする。この設定をしないと、登録番号は印字されても税率区分が出ないので注意。
なお、スマレジはアプリバージョン4.28.0以降でインボイス対応が有効になる。古いバージョンのままにしている場合は先にアプリをアップデートしてほしい。
スマレジの注意点
管理画面で登録番号を保存した後、iPadアプリで「同期」を実行しないと反映されない。設定後はアプリを開いて手動同期するか、一度ログアウトして再ログインすると確実だ。
Airレジ(リクルート)
Airレジの場合、設定はiPadアプリの「レシート設定」画面だけで完結する。Web管理画面には登録番号の入力欄がないので、ブラウザを開く必要はない。
手順は「Airレジアプリを開く」→「設定」→「レシート設定」→「店舗名・登録番号」の欄に登録番号を入力して保存、以上だ。この設定が完了すると、以降に発行されるレシートと領収書の両方に自動で登録番号が印字される。税率区分と消費税額の表示も自動で入るので、追加の操作は不要。
Airレジの設定がシンプルな理由は、税率ごとの内訳表示がデフォルトで有効になっているから。スマレジと違って「印字コンテンツの設定」を別途変える必要がない。使い始めたばかりの店舗や、設定に慣れていない人にはこの点でAirレジのほうが楽かもしれない。
ユビレジ
ユビレジはバックオフィス画面(Web管理画面)から設定する。アプリ側での操作は不要。
ブラウザでユビレジのバックオフィス(backoffice.ubiregi.com)にログイン → 左メニューの「アカウント設定」→「インボイス設定」または「店舗情報」→ 登録番号欄に「T」を含む14桁を入力 → 保存。保存後にiPadのユビレジアプリを同期すると反映される。
ユビレジは飲食店での利用が多いが、8%と10%の混在(軽減税率と標準税率)にもデフォルトで対応している。商品登録時に税率を正しく設定しておけば、レシートには自動で税率区分ごとの小計と消費税額が出る。
Square
Squareは管理画面のアカウント設定から入力する。画面の場所が若干わかりにくいので手順を正確に書いておく。
ブラウザでSquareダッシュボード(squareup.com/dashboard)にログイン → 右上の事業所名(店舗名)をクリック → 「アカウントと設定」→「事業所情報」→ 「適格請求書発行事業者の登録番号」の入力欄に「T」を含む14桁を入力 → 「保存」ボタンをクリック。
この設定後、Square端末から発行されるレシートと、Square請求書の両方に登録番号が自動で記載される。SquareのPOSアプリ側での追加設定は通常不要だが、アプリのバージョンが古い場合は先にアップデートを推奨する。なお、Squareはアプリのアップデートで設定画面の場所が変わることがあるので、手順が合わない場合は公式ヘルプも参照してほしい——ここは自分でも全バージョンを確認できたわけではない。
設定後に確認すべき3点
設定が完了したら、必ずテストレシートを1枚出力して以下を目視確認してほしい。管理画面への入力は正常でも、印字されていない・文字化けしているというケースが実際に起きている。
- 登録番号が「T+13桁の数字」の形式で印字されているか
- 8%(軽減税率)と10%(標準税率)の商品が混在する場合、税率ごとに分けて金額が表示されているか
- 消費税額または適用税率が明記されているか(どちらか一方でOK)
特に軽減税率がある場合は要注意だ。たとえばコンビニや食料品店で「食品(8%)」と「雑貨(10%)」を同時に販売している場合、レシートには税率区分ごとに分けた小計と消費税額が必要になる。商品マスタへの税率登録が正しくないと、見た目上はインボイス対応に見えても実際には要件を満たしていないケースがある。商品の税率設定については軽減税率のPOSレジ設定方法の記事も合わせて確認してほしい。
インボイス非対応だと何が困るのか
買い手側(購入した法人や個人事業主)が仕入税額控除を使えなくなる。
具体的に言うと、取引先の会社がレシートを経費精算する際に、消費税額を「仕入れに係る消費税」として控除できなくなる。2023年10月以降、段階的に経過措置が設けられているが、2026年10月以降は控除割合が80%まで下がる(2029年10月以降は控除不可)。B2Bの取引が多い業種では、「うちのレシートがインボイス非対応なので別の店を使います」という顧客離れにつながる可能性が出てくる。
一方、消費者(一般個人)しか相手にしていないビジネスなら——たとえば完全に一般向けの美容室や個人経営の飲食店——影響は限定的だ。取引先が仕入税額控除を使うかどうかが判断基準になる。
設定できたか不安な人向けチェックリスト
設定後の確認も含めて、以下のリストで全項目がクリアできていれば問題ない。
- インボイス登録(適格請求書発行事業者)が完了しており、登録番号(T+13桁)を取得済みである
- POSレジの管理画面に登録番号を入力・保存した
- 税率ごとの内訳印字がONになっている(またはデフォルトでON)
- テストレシートを出力して、登録番号・税率区分・消費税額の3点が印字されていることを確認した
- 軽減税率対象の商品がある場合、商品マスタに8%と10%が正しく設定されている
- POSアプリが最新バージョンになっている(スマレジの場合v4.28.0以降)
この中で自分がまだ完全に確認できていないのは「POSアプリのバージョン要件」の部分で、特にSquareとユビレジはメジャーアップデートごとに変わることがある。最終的には各サービスの公式ヘルプページも確認することをすすめる。
よくある質問
Q. 手書きのレシートでもインボイス要件を満たせるか?
満たせる。POSレジを使う必要はない。手書きで登録番号・取引年月日・取引内容・税率区分ごとの合計・消費税額を記載すれば要件を満たす。ただ実務上は手書きで正確に計算するのが難しいので、POSやレジアプリを使ったほうが現実的だ。
Q. 複数店舗を運営している場合、店舗ごとに登録番号が違うのか?
登録番号は事業者単位で1つだけ。複数店舗を同一法人または個人が運営しているなら、全店舗で同じT番号を使う。スマレジなら店舗ごとに同じ番号を入力するか、本部一括での設定が可能なプランもある。
Q. 免税事業者はインボイスの設定が必要か?
不要。インボイス(適格簡易請求書)を発行できるのは適格請求書発行事業者として登録した事業者だけで、免税事業者は登録番号を持たない。登録していないのに登録番号欄に何かを記載するのは違法になるので注意が必要だ。
POSレジ選びで迷っているなら
インボイス対応はもちろん、月額0円から使えるクラウドPOSを探しているならスマレジが現時点で最もコスパがいい選択肢だと思う。フリープランは月額0円で、インボイス対応も含めた基本機能が使える。規模が大きくなればプランを変えればいい。
スマレジの料金プランを確認する(公式サイト)